映画「国宝」は、表面上の美しさと重厚さに定評がありますが、それを支えているのは俳優たちの緻密な演技と背景の文化です。それにもかかわらず、この作品は、多くの観客にとって歌舞伎の険しい道のリアルを覗き見る窓口になっているかもしれません。ただし、作品が抱える“血筋”と“才能”のジレンマを一歩先に進めていないことには疑問を感じざるを得ない。
映画を観た者に訴えかけるのは、ただのドラマではなく、伝統ある歌舞伎をめぐる葛藤。吉沢亮と横浜流星がどれほどの練習を重ねたかを考えると、その結果は心に響くものであり、俳優陣の努力は称賛に値する。ただ、彼らが演じる歌舞伎役者の成功と悩みの描写は、深入りせず、表層をなぞっているように感じられる。歴史ある血筋の重圧や逸脱した登場人物たちの運命をもっと掘り下げることで、さらに深みを増せたのではないか。
映画が観客に提供しているものは、ただの歌舞伎を描いたビジュアルの美ではなく、その奥にある人格と芸の矩を超える明確な使命感である。では、その使命感を画面だけでなく、現実にどう受け止めるべきなのか。何が本当に尊いのか。そしてこの映画の魅力は、どこまで深く本物の歌舞伎界の光と影に触れられる要因としての役割を果たすだろうか。
「国宝」は観客を歌舞伎の世界へと引き込む入り口として成功したが、問いは残る。私たちは、果たして「血筋」と「才能」のどちらに重きを置くべきだろうか。
コメントの選抜:
歌舞伎には関心も知識もない人間ですが、この作品は素晴らしくて、観てから数日間はずっと様々なシーンの余韻に強く浸っていました。ただ、歌舞伎の世界の価値観や慣習やしきたりはやはり酷い部分もあるなという感覚は深まりました。芸を極めるために血の滲むような鍛錬を積む方々には尊敬と畏怖の念が増しました。
映画なので、きれいにまとまっている部分があるなぁとか、女性の気持ちの掘り下げがもうちょっとかななどと、思った。けれど、歌舞伎好きな自分としても、久し振りにもう一度見たいと思った映画だ。
昨晩観てきました!吉沢亮くん、横浜流星くんの演技は見たことなかったけど、本当に素晴らしい演技力で圧巻でした。見る前、3時間と構えていたけど、スケール感がスゴくて引き込まれあっという間でした。芸は身を助ける!ということを改めて教えてくれて、久しぶり感慨深く心に残る映画となりました。
血筋か演技力か。確かに難しい判断ではある。しかし、血筋が頑張ってたが病に倒れて血筋が絶えたことは哀れを感じた。歌舞伎界でも血筋だけでは評価されない部分もあるが歌舞伎の場合は血筋を評価してしまう傾向があり余程の事がない限り血筋はプラスアルファの評価をされることが多いので血筋は尊いとも言える。
引用元:https://news.yahoo.co.jp/expert/articles/4aca6f694c6f1b4ee82ca37e5a90c3d85c826949,記事の削除・修正依頼などのご相談は、下記のメールアドレスまでお気軽にお問い合わせください。[email protected]