児童相談所の現場で、限界を迎えているのは一時保護施設の職員だけではない。「社会全体で理解するべき」という言葉が、無責任に響く時代が続いている。
この問題の根本にあるのは、ただひとつ、「子どもを守るために動いている職員の過酷な状況が、どうしてこんなにも軽んじられるのか？」ということだ。
労働環境が悪化し、長時間の勤務を強いられる職員たち。どれだけ「改善が必要」と叫ばれても、彼らの状況はどんどん悪化している。辞職率が高いのは、正当な理由以外の何物でもない。
一時保護される子どもたちの数が増えていく一方で、その対応を支える人員はどんどん減っていく。東京都や千葉県で100％を超える入所率の現実は、まるで「物理的に限界を迎えた施設」と化している」ことを物語っている。
人手が足りない、給与が不安定、休息も取れない――こんな状況でどうやって「やりがい」を感じろというのだろうか。職員が辞めていくのは当然の結果だし、心身の不調に悩まされるのも必然だ。「やりがい」とかいう前に、まずは人としての生活が保障されるべきではないか？

社会全体がもっと真剣にこの問題を受け止め、改善の道を探すべきだ。しかし、現実はむしろ、虐待問題が浮き彫りになるたびに、「じゃあ、誰かがなんとかするだろう」という無責任な姿勢だけが残る」。
問題の核心は変わらない。それを直視する勇気がある人は、どれほどいるのだろうか。

ネットからのコメント

1、この様な人目をあまり引かない事案を丁寧にリポートしてくださり、記者さんには感謝します。この様な記事がなければ関心も湧かない。一般の人の関心がなければ状況は改善されにくい。未来の日本になう子供たちが家庭環境の不全で危機的な状況下にいても、一人でも多く、安心できる居場所を確保するのは私たち大人の役目だと思います。

2、人手不足と言いながら、正規職員の募集をかなりの自治体では年齢制限かける。一時保護所の人員不足を補うために学生を会計年度職員でアルバイト雇用する。→様々な環境の下で育った子どもをアルバイトで対応しようとする姿勢に疑問子ども福祉に携わる職種であれば、専門性の資格を持ち（社会福祉士、精神保健福祉士など）、せめて修士以上の人を採用してほしい。

現場に出てのリアリティショックの軽減や、子ども対応も倫理観を持って職務遂行出来ると思う。

3、記事の通りなんだけれども、せめて保護所の種類を虐待保護と、虞犯、帰宅拒否などで分けてほしい。虐待保護で不安定な幼児さんと虞犯傾向ありで荒れてる中高生なんかを一緒のところでみるのは限界があります。ケアの仕方も求められるスキルも全然違う。

4、保護者の対応に1番時間が取られるのよ。小児科で働いてた友達も親の対応が本当にしんどかったと言っていた。子供の事が心配だから理解はできなくないけど、親や親族が交代で付き添うの交代する度に同じ事を聞かれるとか、何度説明しても理解力ない親とか。私も訪看してるけど家族の対応が本当に大変なところある。普段いないし、説明聞きたいなら自分達が医者が来る時間に合わせるしかないのに、「今アナタに聞いてるから説明してよ」と言われたり、医師からの説明になってると言っても「時間ないから合わせられない」とか。自分達は合わせないからそっちが合わせろみたいな。虐待親なんてもっとそういうのありそう。自分達は間違えてないとか、そっちの勘違いだ！とか。